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Toggle当事者研究会レポート
NPO法人あるは、自分らしさに悩んだり、つまづいたりしながら、自分らしく過ごせる居場所やはたらき方を探したいと思ったメンバーで作った団体です。
自分らしさを知るために、当事者研究のグループワークを行なっています。
この記事では、8月9日に開催したオンライン当事者研究会の内容をご紹介します。
概要
- 日付:2024年8月9日(金)
- 時間:19:30 – 21:30
- 会場:オンライン
- 参加人数:8人
グループワークの流れ
ワークは以下の流れで進めます。
- 苦労の共有
- 研究テーマ選択
- テーマ毎の研究
テーマ選び
まず「みんなの苦労」を共有し、その中から当事者研究を行うテーマを選びます。
- 「みんなに聞いてほしい」「一緒に考えてほしい」という当事者の希望
- 「興味がある」「詳しく聞いてみたい」という他の参加者の関心
- 「自分も同じような苦労がある」という共感
このような要素を普段大切にしながらテーマを決定します。
テーマ毎の当事者研究のグループワーク
ワークは、テーマ毎に以下の流れで進行します。
- 当事者さんにみんなでインタビューし苦労について詳しくお聞きします。
- インタビュアーから当事者さんに「発見」「共感」「対処方法のアイディア」を共有します。
- 当事者さんからインタビュアーに「発見」や「感想」を共有します。
ここからは各研究テーマについての概要をお伝えいたします。
※各テーマの「概要」はファシリテーター視点からのまとめの一つ」であり、参加者それぞれの体験を総括するものではありません。
研究テーマ1:時間の感覚が弱い
概要
大学生の頃から、遅刻してしまうという苦労を抱えている当事者さん。
インタビューで、大学以前はルーティンが決まっていて遅刻しにくかったことや、急いだら間に合うという成功体験が遅刻の始まりかもしれないと気づきがうまれる場面がありました。「5分前などに到着して、余裕を持ちたい」というなりたい自分のイメージの共有もありました。
フィードバックの時間では、遅刻することをよしとする案や、10分前行動など具体的な改善策などたくさんの対処法が提案されました。
研究を終えて、当事者さんは「改めて遅刻はカッコ悪いな」と感じたそうで、遅刻しなかったらポイントを貯めて、ポイントを集めたらご褒美を作るという方法を実践してみると発表されました。
遅刻は経験者が多い困り事で「気を抜くと少し遅刻してしまうが、絶対に遅刻してはいけない予定には遅れないことが多い」という事例が少なくないことが、話されたことも印象的で、遅刻をテーマに当事者研究を続けたら要因のパターンが見つけられるかも知れないと感じました。
研究テーマ2:自分の得意がわからない(仕事)
概要
インタビューでは、当事者さんのお仕事に対する考え方や、現在のお仕事に対する気持ち、理想とする仕事の選び方、他に思い当たる得意なことなどについて質疑応答がなされました。
その中で、見える化(視覚情報)が得意で好きだということも共有されました。
アイディアの提案では、得意の「考える」と「見える化」を活用する案や「考える」という得意で、きっとどんなお仕事に就いても活躍できるという意見が出ました。「当事者さんらしさを活かせば大丈夫!」というメッセージが多く、当事者研究らしい対話だったと感じます。
当事者さんは研究を通じて、やりたいことを仕事にすれば、その中で得意な「考えること」を活かせるかもしれないと感じたこと。飛び込んでみることも大事だなと思ったと共有してくれました。
参加者さんの感想
イベントに参加いただいた皆さんから、この様な感想をいただきました。
感想
- たくさんの意見をもらう経験は普段の日常にはないので、体験できてよかった。
- いつも時間が足りないなと感じるが、今日もタイトに感じた。
- オンラインとオフラインでも感触が違うと感じた。
- たくさん提案されて当事者さんが混乱しそうだと思ったが、参考になることが見つけられることを知った。
- もっと当事者さんからの語りの時間を多めにとってもいいと感じた。
- オンラインでパッと答えることが得意じゃないので緊張感を持って参加した。
- インタビューで忘れていたエピソードを思い出す体験があった。
- 自分の苦労についてみんなで対話する時間自体が嬉しい。
- 対話の枠組みがオープンダイアローグと似たところがあると感じた。
- 「無責任に提案を・・というフレーズが、共有されていてとてもいいなと感じました。
- 機会があれば、聞く側だけでなく参加してみたいです。
- 最初に短い自己紹介やフリートーク部分があっても良いかなと思った。
- 自己紹介で、過去の当事者研究のテーマ報告もあると聞いている人も参考になるはず。
- スライド映像と説明があり、初めての人には分かりやすいと思う。
- 主催の方々が皆さん穏やかで安心感があります。初めての方が来られても、落ち着いて参加できそうな雰囲気でした。
- もう少し少人数(4〜5人くらい)だと発言しやすかったかなと思いました。優しい方の集まりだと分かっていても、約10人聞いているのか…と思うと発言するのに勇気が要りました。
- 私にはオンラインより対面の方が合ってるなと思いました。
- 進行役が重要なのはもちろんですが、質問役が鍵だと感じました。
- あえて当事者を限定しない形を継続してみてほしいです。
- 役割分担があって良かった。
- こういった、積極的に課題解決に向かうような会を求めていました。共感や共有から一歩先へ進む素晴らしい取り組みだと思います。
スタッフの感想
初参加の方から「嬉しい気持ちを感じた」という感想をいただき、当事者研究の対話がインタビューを受ける当事者さんにとってポジティブな影響があることを改めて実感しました。
またオンラインならではのコミュニケーションやイベントの在り方について、試せることがたくさんあり、居心地の良い時間や居場所作りの伸び代がたくさんあることを知れたのは嬉しいことでした。
当事者研究で共有されるアイデアや希望を居場所事業の企画として実行できれば、当事者研究の機会をより一層活かすことができると感じました。
8月21日の当事者研究講座のお知らせ
8月21日にまちがくの授業として、再び当事者研究講座を行わせていただきます。
参加者絶賛募集中ですので、この記事を読んで、興味を持たれた方は、ぜひご参加いただければ嬉しいです。
まちがく公式ウェブページから参加予約をお申し込みいただけます。
講座概要:自分を研究してみる当事者研究②
- 開催日時 2024年8月21日(水) 19:00 – 20:30
- 場所:LITALICOワークス西宮
- 住所:西宮市今在家町1-8 ケープヒルズ阪神西宮5F
- 定員 15名