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Toggle大手前大学オープンキャンパスイベント:高校生との当事者研究
2024年8月3日、8月4日に大手前大学のオープンキャンパスに当事者研究講座で参加させていただきましたので、その内容についてお伝えいたします。
今回の出張講座は、大手前大学さくら夙川キャンパスのオープンキャンパスイベント「 ホントの自分を知る8プログラム」 の1つとして、現代社会学部の伊藤康貴准教授と共同講座として、オープンキャンパスに来場された高校生に向けて「当事者研究」を体験していただきました。
「記憶の不思議を体験する記憶の心理学」や「僕があの子に恋をした理由」など面白そうな授業の体験ができるブースがたくさん出ていました。
大手前大学ではこのようなオープンキャンパスを毎月のように開催しています。
大手前大学オープンキャンパス:当事者研究講座レポート
大手前大学オープンキャンパスイベント概要
- 日付:2024年8月3日(土)、8月4日(日)
- 時間:11:20 – 15:00(当事者研究の講座は13:00 – 15:00に実施)
- 場所:大手前大学さくら夙川キャンパス
当事者研究講座内容
受験を控えた高校生や保護者の方が抱える気持ちのモヤモヤを共有して、自分だけではないんだという安心や気づきを感じることができる様な場作りを目指してワークを実践しました。
当事者研究グループワークの流れ
ワークは以下の流れで進めます。
- 苦労の共有
- 研究テーマ選択
- テーマ毎の研究
当事者研究テーマ選び
まず「みんなの苦労」を共有し、その中から当事者研究を行うテーマを選びます。
- 「みんなに聞いてほしい」「一緒に考えてほしい」という当事者の希望
- 「興味がある」「詳しく聞いてみたい」という他の参加者の関心
- 「自分も同じような苦労がある」という共感
このような要素を普段大切にしながらテーマを選択しますが、今回は主役となる高校生に研究したいテーマを選んでもらいました。
テーマ毎の当事者研究のグループワーク
ワークは、テーマ毎に以下の流れで進行します。
- 当事者さんにみんなでインタビューし苦労について詳しくお聞きします。
- インタビュアーから当事者さんに「発見」「共感」「対処方法のアイディア」を共有します。
- 当事者さんからインタビュアーに「発見」や「感想」を共有します。
ここからは各研究テーマについての概要をお伝えいたします。
※各テーマの「概要」はファシリテーター視点からのまとめの一つ」であり、参加者それぞれの体験を総括するものではありません。
当事者研究テーマ1:やることを先延ばししてしまう
概要
「やることを先延ばしにしてしまう。朝起きることができない。午後眠い。」という複数の困りごとがある当事者さん。当事者さんに「少しでも解決のきっかけが生まれたら嬉しいのはどれ?」と尋ね、「やることを先延ばしにしてしまう」という困りごとを研究テーマに選びました。
インタビューは、当事者さんは先延ばしにしてしまう要因や、先延ばしせずできていることもあるということに気づく場面がありました。
参加者からは、当事者さんが試したことがないアイディアがたくさん提案されました。
その中から、当事者さんは「やることリストを作って、やったらそれをチェックしていく」という方法を「これならやれそう」と、お気に入りの提案に選ばれました。
困りごとが起きる要因が複数考えられるときに、中でもサポートがあったらありがたいと思うものは?とインタビューの中で、当事者さんのニーズの細分化が進み細分化されたニーズに合う様なアイディアの提案が豊富に出たことが印象的な研究でした。
当事者研究テーマ2:SNSをみすぎてしまう
概要
苦労をみんなで出し合った後、参加してくれた高校生に「この中で研究してみたいテーマはどれですか」と尋ねたところ、「絶対これがいい」と「SNSを見すぎてしまう」をテーマに選んでくれました。
インタビューを通じて、実際に困っていることがあるというよりも、SNSを見すぎることが一般的によくないと言われていることからくる心配、生活リズムが乱れるのではないかという不安、動画を見すぎて集中力が低下するかもしれないという恐怖を感じていることなどがわかってきました。
インタビュー後のアイディア出しでは、「動画視聴時間を短くする方法」と「不安な気持ちを軽くする方法」の2点について提案することにしました。
「あまり元気がない時に、動画を見る時間が増える」と当事者さんからお聞きしたからか、動画を見ることを単に悪いこととは決めつけず、自分の楽しみの1つとして捉えてみてはどうかという前向きな提案が多く見られました。
参加者さんの感想
講座に参加いただいた皆さんから、この様な感想をいただきました。
感想
- 困っている事をこうやってだれかと一緒に考えるのは初めての経験だった。
- 立場などが違う人と一緒に話すということがいいと思った。
- 気持ちが少し軽くなったし、楽しかった。
- 解決を目指さないというのが面白い。
高校生に当事者研究を体験してもらった感想
今回高校生と一緒に当事者研究をしてみて、「クラスメイト」や「同級生」という当事者性が共有できる学校という環境での当事者研究は盛り上がるのだろうなと感じました。
一方で、今回のように多様な立場の人々での対話の効果も改めて感じました。
伊藤先生との振り返りの中で「ファシリテーターによっても場の雰囲気や展開は変わる」という話もして、その時その場のメンバーによる対話が一期一会なものになるのは、解決を目的としない当事者研究の魅力の一つかもしれないと思いました。
その他の学び
今回のワークで苦労の具体例のサンプル資料が有効だと感じました。
意見の発信が苦手な方にとって、サンプルから選ぶという選択肢が発言をサポートする場面が見られたからです。
このような気づきを得られたことも大きな収穫になりました。
8月21日の当事者研究講座のお知らせ
8月21日にまちがくの授業として、再び当事者研究講座を行わせていただきます。
参加者絶賛募集中ですので、この記事を読んで、興味を持たれた方は、ぜひご参加いただければ嬉しいです。
まちがく公式ウェブページから参加予約をお申し込みいただけます。
講座概要:自分を研究してみる当事者研究②
- 開催日時 2024年8月21日(水) 19:00 – 20:30
- 場所:LITALICOワークス西宮
- 住所:西宮市今在家町1-8 ケープヒルズ阪神西宮5F
- 定員 15名